夏休み恒例富士登山
(UPDATE 2001/8/17)

太田家の第9回富士登山の記録(富士登山駅伝当日)

今年もみんな忙しいぞ
 とうとう次男も中学生になった。9年前が懐かしく思う。
いつの間にやら、長男は受験生、次男も中学校でバスケ部に入って、夏休みといえど足繁く学校へ通っている。幸か不幸か、長男の所属する器械体操部の都大会5位の成績に終わり、ポンと空いた8月5日、ここを逃すと8月の末までスケジュールは空いていないという。
早速、Web上で天気予報をチェックすると「山頂天気予報」は7月28日の記録を最後に停止しているではないか!あわてず騒がず、再読込みをクリックするが、画面は変わらずである。どうも「山頂天気予報」のサーバートラブルのようだ。
それではと、富士五湖地方の天気予報をチェックすると8/4晴れ→曇り(降水確率0%)、8/5曇り→雨(降水確率は20%〜30%)と明らかに下り坂である。
昨年同様、過去の経験から5日は午前中はなんとかなるかなと判断して、準備開始!
新メニュー登場 [Ritzのチーズサンド]
 これまで、我が家の携帯食料については特に触れてなかったと思うので、ここでご紹介。
8/4に僕が買い出した物は、東鳩オールレーズン2袋、魚肉ソーセージ5本パック、KitKat1袋、乾燥梅干1袋、よっちゃんイカ大袋、Ritzのチーズサンドイッチ1袋、大玉飴1袋、アクエリアス(クリアレモン)500MLを3本とポカリ1.8Lを1本とこんなところをドン・キホーテで買ってくる。以上が行動食となり、この他に朝食用のおにぎりとポットに温かい紅茶を入れて食料の準備は完成である。
忘れてならない足回り。子ども達の足は年々大きくなるので、必ず毎年購入することとなる。とうとうカミさんの足が一番小さくなったので、もうトレッキングシューズのお古の貰い手は家族ではいなくなってしまった。
今日はカミさんは仕事があったし、長男は中学で夏期講習を受けていたので、明日8/5の未明に出発し、昼頃までに下山してくれば、睡眠も取れて、雨にも襲われないで済むだろうと、0:00〜1:00の出発の予定として22:00頃から眠りに就く。僕だけ居間でうたたねをしながら0:30に目を覚ます。全員を起こして、いざ出発。
 0:45、武蔵野出発
  車に乗って、ギャソリンタンクをチェックすると半分ちょっとある。
少しでも早く着きたいし、帰りの御殿場で入れるかなあ…と思いながら出発。
これが後で大変な誤算となり、ドキドキの時を迎えるのだが、まあ何事も始まりはちょっとした判断の分かれ目にあるものだ。
 1:15、高井戸IC
  東名高井戸ICまで30分、御殿場ICまでが1時間、新5合目駐車場まで30分というのが標準時間であるが、御殿場IC着2:08と若干早めに到着。東名走行中に何度か雨にあったが、とりあえず雨は収まっている。
とはいえいつ降り出してもおかしくないという空模様だ。
富士スカイライン方面へとハンドルを切って、街中から逸れると途端に霧が襲ってきた。
これまでも何度も濃霧(雨雲)の中を駐車場目指して登ってきたが今回は特に濃い霧で、自衛隊富士学校を過ぎた辺りからは5m先も見えなくなり、ローギアでのろのろと山腹を登ることとなった。
3合目辺りで、やっと雲の上に出たと喜べば、新5合目駐車場1Km辺り手前から、路上駐車の車が並ぶ。
やはり、この時間では駐車場確保は難しいようだ。
上でUターンをして数珠繋ぎの車の列のお尻に僕も仲間入り。
 3:10、新5合目駐車場1.2Km手前着
  御殿場IC後、いつもの2倍かかった計算になる。
 3:30、登山開始
  新5合目駐車場へ向けて、出発。
これまでの一番下からの登山となりそうだ。
霧はなく、月明かりも充分にあったが、車が危ないので、車のライトが見える度にペンライトで合図しながら登る。
富士の冷気に冷やされた体があっという間に温かくなってくる。
 3:50、新5合目駐車場着
  駐車場の影で黒っぽい装束の集団が固まりを造る。
登山道に入ってすぐのチップ制のトイレで身支度を整えていると、やってきたのはその黒の集団。その正体は自衛隊。昨年はUS.NAVY、今年は自衛隊。
街中なら驚くが、ここ富士山では、なんでもありだ。
ちなみにこのチップ制のトイレのお金が何べんと無く盗難被害にあっていると聞く。
まったく許せない輩がいるもんだ。仮に捕まった場合は、その懲役として一生、富士山のトイレの掃除をさせたい!そうでしょう?
 4:10、新6合着
  次男坊がどんどんと先を急ぐ。なんでも日の出が見たいらしい。
それを追いかけるカミさん。
マイペースで登る長男に、僕が続く。
とうてい、あのペースには付いて行けない。流石、バスケ部だ。
 4:25、6合目着
  休まずに素通りするが、カミさん達の姿もない。
まだまだ、元気で上を目指しているようだ。
自衛隊員のグループが休んでいたので、事情を聞くと、富士登山駅伝の応援を兼ねての訓練であるという。
そう、今日はちょうど、富士登山駅伝の日であったのだ。
 4:55、新7合着
  ここにもカミさん達の姿はなかった。かわりに自衛隊の別の隊の集団とあう。
上官に「挨拶!」と言われて、元気よく、「おはようございます!」とかなりなオーバーアクションで笑いを誘いながら登山者に声を掛けている。
なかなか、どうして明るさはUS.NAVYに引けは取らない。
登山者が足を滑らせると、何人もの隊員が「大丈夫ですかあ!」と声を掛ける。
結構な重さの背嚢を担いでいるだろうに、明るく頼もしさを感じられた。
上を見上げると次男の赤いザックとカミさんの黄色いザックが目に入る。
思い出して、カミさんに携帯で連絡を取ると、「8合目まで一気に行く気みたいだよ。」という返事。
左手に月、右手に太陽がちょうど同じ高さに見えた。
 5:30、元祖7合目着
 「なんだよ元祖って、さっき7合目だったじゃないか!」と文句を言う登山者の声が聞こえてきた。
ごもっとも、新6合、6合の感覚と比べるとかなり歩いたにも関わらず、上にあがってないので、ここらから怒り出す人が出る。
富士宮口はほぼ等間隔で山小屋があるとはいうものの、6合目から9合目にかけては、すぐ上に見えている山小屋になかなかたどり着けないもどかしさから、頂上が果てしなく遠い存在に見えてくるのである。
されど、本日の幾分湿り気を帯びた空気のせいか、我が家族はすこぶる快調のようである。
 6:05、八合目着
  やっと、家族全員が再開できた。
思えば、9年前は今日真っ先に8合目に着いた次男はまだ数日前に5歳の誕生日を迎えたばかりの小ちゃな幼稚園児で、寒さと疲労にここで、動けなくなったのである。あれから9年、逞しくなったものだ。
全員集合ということで、15分の大休止を取って、行動食で、疲れを癒す。長男は僕と同じように立ったままで、休憩をしている。腰をおろすとその後がしんどくなるのをもう体が覚えているようだ。
こんなに、休まずに登り続けたのは初めてかもしれない。
新メニューのRitzチーズサンドはクラッカーの塩味とチーズの風味が疲れた体にぴったりで、今後も定番にしよう。
 7:00、九合目着
  今年は、万年雪がまったくありませんでした。
8合目下の岩棚に水滴がまったく見られなかったので、その予感はあったのだが、ガレ場に雪のカケラの1もない事実は富士登山の楽しみの1つを奪われ、おにぎりを1つ落としたのと同じくらい残念であった。
 7:30、九合五勺着
  「8:00に着きたいね」とカミさんと交わした言葉に自分を奮い立たせ、せっせと登る。
頭の中で計算すると、これまでの最短記録になっていることに気がつく。
やはり、我が家は夜間登山向きの家族なのであろう。
たっぷりと睡眠をとっての朝からの挑戦では、まずこの時間では登れまい。登山道の込み具合や、自分のペースを考えると、今回のこの時間帯の登山が一番いいのかもしれない。
 8:02、頂上着
  僕はちょっとオーバーしてしまったが、カミさんは8:00に登頂できたようだ。
さっそく、山小屋に入って場所を確保して、おにぎりをほお張る。が気がつくと僕は食ってる途中で寝ていたらしく弁当の袋を抱えて、1人壁にもたれていた。
子ども達とカミさんを探すと、小屋の入り口で日差しをあびながら、やっぱり昼寝している。
残りのおにぎりを食べてから、そこに行くとなんと珍しく温かいではないか!なんともいい登山日和である。
まだ、書き終えていない、暑中見舞いを書かせていると例の富士登山駅伝の山頂折り返し地点とあって、どんどんと人口密度があがっている。
山頂に富士山のトイレ問題解決のバイオトイレが設置されているのを思い出し、見に行くと、なかなか綺麗なトイレがズラッと並んでいる。
1回200円のようだが、これで解決できるのなら安いもんだ。
自分ではもったいないので、カミさんに行かせる。
感想は「綺麗だったよ」ボキャ貧な人だ。
トイレ越しに富士山レーダードームの雄姿を撮る。
今年で、こいつともお別れかと思うと寂しい。
 10:30、下山開始
  予定では10:36頃にトップランナーが来る模様で、僕としては見てから下山したかったのであるが、混むから先に降りようというカミさんの言葉に従って下山を開始する。まあ、カミさんの意見をよく聞くのが、僕のとりえで彼女を怒らせてまで、みたいほどのものでもない。
9合目まで降りてくると下から冷たい雲がどんどんと上がってくる。8合目から先は雲に覆われ、下が見えない。
案の定、8合目手前から、雨が降ってきたが、雷雲ではないので、問題はない。今年は頂上で雷に打たれて犠牲者が出たばかりなので、それだけが心配であった。
ポンチョを被って、下山を続けるが、どうも丈が短くて雨だれが丁度、膝頭にあたって冷やしたため、7合目から下山が凄く大変であった。
 13:30、新5合目駐車場着
  今年はまだ、おまけが1.2Kmもあるが、車道は下りの傾斜が穏やかなので、膝の負担がへり随分と楽になった。
 ギャソリンがない!
  車について、濡れた服を取り替えて、エンジンを掛けて、驚く。予想以上にタンク残量がないことに気がつく。
Eマークの下に行ってるではないか!(例の濃霧による低速登坂走行がかなりひびいていた)
頭に浮かんだ、スタンドは自衛隊富士学校の先、距離にして、35Kはあるだろうか?
下りが続くので、ニュートラルで行く手もあろうが、流石に長すぎる、ブレーキが焼けてしまう。
いろいろ、考えるがまあ兎に角降りようということで、下山を始めるが、ぐんぐんと針が下がっていく。
タンクに穴のあいた飛行機を飛ばしてる心境だ。
そんな折、ふとスカイラインの入口、水ケ塚の脇にスタンドがあったのではないかと記憶が蘇る。
以前、入口をうっかり通り越して先に行き過ぎたときにスタンドを見かけた憶えがあったのです。
案の定、スカイライン出口で、右折にスタンドの小さなマークを発見。霧が濃かったら気づかずに帰り道の左へと迷うことなくハンドルを切っていたでしょう。
小さな小さなスタンドに車を入れると明かりは付いているものの、誰もいない。
「無人ですので、隣のレストランに声を掛けて下さい」との張り紙を見つけてホッとする。
早速、レストランへ行くと、「リッター120円ですけどいいですか?」と言う。
「ええ、兎に角、底をつきかけているんでお願いします!」と僕。200円だって文句は言わない。
事情を説明すると、「ああじゃあ10リッターも入れれば、麓のスタンドに付けますね」と親切なおばさんが、ギャソリンを入れながら、「あなたみたいな人しか来ないからあ」と言う。
「いやいや嬉しかったですよ!スタンド見つけたとき」と言いながら大感謝で1200円を渡して、優雅な気持ちフォレスターは下っていったのでした。

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